「インテリジェントなスーパーAI」という看板を掲げて登場したキズナアイ。その軽妙なトークと無邪気なキャラクター性は、世界中のリスナーを一瞬で魅了した。しかし、CGアバターの背後で息づく人間の存在をどう扱うかという問題は、プロジェクトの開始当初から絶えず燻り続けていた。
当初、中の人の情報は徹底して秘匿されていた。アニメ声優のようにクレジットに名前が載ることもなく、イベント登壇時も「声の出演」として言及されることすら稀だった。この匿名の壁は、タレント本人のキャリア形成と大きな摩擦を生むことになる。どれほど世界的な人気を博しても、実名での実績としてカウントされないジレンマ。エンターテインメント史に残る金字塔を打ち立てながらも、表舞台では「存在しない人物」として扱われる理不尽さがそこにはあった。