よろにくの名を不動のものにしたのは、オーナーであるVanne桑原(桑原秀幸)氏の類まれなる美意識と構成力です。元DJという異色の経歴を持つ同氏は、焼肉のコースを「音楽のプレイリスト」に例え、前菜からデザートに至るまでの起承転結を緻密に設計しました。
そのハイライトとして語り継がれるのが、焼肉の既成概念を覆した看板料理「シルクロース」です。
絹のように極薄にスライスされた希少部位を、スタッフが熱したロースターの上で泳ぐように数秒間だけサッと炙ります。特製のタレをくぐらせた肉を、一口サイズに丸められた小ぶりなライスボール(一口ライス)にふわりと巻きつけ、一口で頬張る。口に含んだ瞬間に上質な脂が体温で溶け出し、タレの甘みとお米の甘露な風味が一体となってほどけていく感覚は、多くの食通に「肉の概念が変わった」と言わしめるほどのインパクトを残します。
そしてコースのクライマックスを華やかに彩るのが「トリュフすき焼き」です。見事なサシが入った極上のザブトンを甘辛い特製割り下で焼き上げ、濃厚なこだわり卵の黄身と絡めるところへ、これでもかと言わんばかりに削り落とされる大量の黒トリュフ。部屋中に立ち込める芳醇なトリュフの香りと、肉の圧倒的な旨味、卵のコクが三位一体となり、コースのボルテージを最高潮へと導きます。
さらに、終盤に提供される「阿波の手延べそうめん」の澄み切った出汁による繊細な口直し、そして専門パティスリーを凌駕するほどふわふわに削られたほうじ茶かき氷や白熊かき氷に至るまで、一切の隙がないストーリー展開が、よろにくのおすすめメニューたる所以です。