インターネット上の論壇では、時に政治家の全体像が一面的なステレオタイプで切り取られがちです。有村氏に関しても、ネット空間の言説と政策の実像との間には少なからぬギャップが存在します。
第1の誤解は、「強硬な保守派であるため、リベラル的な福祉や女性政策には無関心なのではないか」という見方です。有村治子のネットの反応を分析すると、歴史認識や安全保障に関する毅然とした発言ばかりが拡散されがちですが、政策文書や国会記録を遡ると、彼女はマクドナルド時代の人材開発経験を基礎にした「実効性のある女性の就業環境整備」や「不妊治療支援の拡充」に極めて早い段階から取り組んできた経緯があります。理念先行のクオータ制導入には慎重姿勢を崩さないものの、現場の女性労働者が直面する制度的不条理の解消には一貫して汗を流してきました。
第2の誤解は、「夫が外国出身であることと、彼女が主張する外国人土地取得規制などのナショナリズム政策との矛盾」を指摘する声です。これに対し、有村氏の主張を精読すれば、彼女が問題視しているのは特定の国籍を持つ個人への排斥ではなく、「法制度の不備によって生じる安全保障上のリスク」と「公法上の相互主義の欠如」であることが明白です。個人の尊厳を尊重する国際私法感覚と、主権国家としての法制度の厳格化を求める公法感覚は、彼女の中で矛盾なく成立しています。