生態のハードな現実とは対照的に、デジタルカルチャーにおいてチベットスナギツネは空前のアイコンとしての地位を築き上げました。その象徴的なエピソードの一つが、人気漫画『テニスの王子様』の主人公・越前リョーマの愛猫「カルピン」に激似であるというSNS上のバズです。
ヒマラヤン種の猫であるカルピンが見せる、平坦で不機嫌そうな愛くるしい顔立ちと、チベットスナギツネの四角い虚無顔を並べた比較画像がX(旧Twitter)上で数万件のリポストを記録。「カルピンの実写版がいた」「どちらも魂が抜けていて最高に愛おしい」と、アニメ・漫画ファン層を取り込んで爆発的な認知拡大を果たしました。
このブームを皮切りに、大手玩具メーカーや雑貨ブランドによるぬいぐるみ、カプセルトイ(ガチャガチャ)、アパレルグッズの展開が加速。デスクに置ける脱力系マスコットとして、オフィスワーカーを中心に品切れが相次ぐ事態となりました。
さらに注目すべきは、「待ち受け画像」としての密かな流行です。「チベットスナギツネをスマホのロック画面に設定すると、理不尽な上司からの連絡を見ても動じなくなる」「画面を開くたびに心がニュートラルに戻る」といった一種の精神安定・魔除け的な効果を求めて画像を保存するユーザーが続出しています。感情を剥き出しにしないその佇まいが、現代人のデジタル疲れに対する癒やしのシンボルとして機能しています。