天下布武を掲げ破竹の勢いで勢力を拡大していた織田信長。その天下統一への野望の前に、突如として巨大な防壁となって立ちふさがったのが伊予の海賊集団だった。近年の調査によって、彼らが用いた戦術の全貌が急速に明らかになりつつある。
彼らが猛威を振るった最大の理由は、複雑怪奇な潮流を読み切る天性の航海術と、緻密に計算された集団戦法にある。信長が誇る大船団に対し、小型で小回りの利く船を自在に操り、敵の死角から一気に強襲を仕掛けるヒット・アンド・アウェイ。海を「道」ではなく「戦場そのもの」として掌握していた彼らにとって、陸上戦の論理で挑んできた織田軍を翻弄することは造作もないことだった。