東京・原宿でのスカウトを機に、美穂は芸能事務所「ビッグアップル」に所属。1985年の鮮烈なデビュー以降、80年代アイドル歌謡の黄金期を牽引するトップスターへと瞬く間に駆け上がった。ツッパリ少女から洗練された大人の女性へと変貌を遂げる彼女の歌声と佇まいは、日本中を熱狂させた。しかし、その華々しい栄光の裏で、彼女は一家の大黒柱としての重責を若くして一身に背負っていた。
姉の背中を追うように芸能界入りした妹の忍は、「ボックスコーポレーション」に所属して歩み始めた。偉大すぎる姉の影に苦悩した時期もあったが、彼女はアイドル路線から着実に舵を切り、演技派としての足場を固めていく。異なる事務所を選び、異なる速度で歩んだ二人は、父親のいない家庭で育ったからこそ、互いの自立とプロフェッショナルとしての領域を尊重し合う独特の距離感を保ち続けた。