吹奏楽界で『もののけ姫』を語る上で外せないのが、森田一浩氏と星出尚志氏による二大傑作アレンジです。どちらも極めて高い完成度を誇りますが、そのアプローチと演奏効果は対照的です。
森田一浩氏が手掛けた『交響組曲「もののけ姫」より』(ブレーン)は、原曲のフルオーケストラが持つ色彩感と緊迫感をそのまま吹奏楽に移し替えたようなシンフォニック・アレンジの極致です。難易度はグレード4.5〜5と非常に高く、木管楽器の精緻なパッセージや金管セクションの強靭なスタミナ、さらには和太鼓など打楽器群の多彩な表現力が求められます。オーボエやフルート、ホルンに重要なソロが配置されており、個々の奏者の技量が試される骨太な構成です。
一方、星出尚志氏による『もののけ姫 メドレー』(ニュー・サウンズ・イン・ブラス等)は、吹奏楽ならではのブラスサウンドの鳴り響きと、聴衆を引き込むドラマティックな展開が際立ちます。難易度はグレード3.5〜4程度で、コンクールのみならず演奏会のメイン曲としても圧倒的な人気を誇ります。旋律の歌わせ方やダイナミクスのダイナミックな変化により、会場全体を包み込む壮大なサウンドを生み出せる点が最大の魅力です。