伝統的な作法において配膳の位置は決まっていますが、左利きの人にとっては「汁物やご飯を持ち上げるときに手が交差して食べにくい」という切実な問題が存在します。これに関して、一般社団法人日本料理協会などの専門機関や料理人の間でも、場面に応じた臨機応変な対応が認められる傾向が強まっています。
懐石やフォーマルな会席料理の席では、出される時点では伝統的な形式に沿って左にご飯、右に汁物を配置するのが無難です。しかし、実際に食べ始めるときに個人の利き手に合わせて茶碗と汁椀の位置を左右入れ替えることは、決してマナー違反ではありません。同席する人へ一言添えたり、周囲に配慮しながら道具を扱いやすく並べ替えたりすることは、むしろ合理的な食事の楽しみ方として受け入れられています。
形式だけを頑なに守るのではなく、目の前の食事を安全かつ心地よく味わうことこそが、本来の「持てなし」と「嗜み」の本質と言えるでしょう。