シード期の起業家が最初に直面する巨大な関門が、日本政策金融公庫からの資金調達だ。創業融資の現場において、専門家が介入した場合の実行確率は8割を超えるとも言われるが、単独で突撃した申請者の審査落ち率は想像以上に高い。公庫の融資担当官が目を光らせるのは、美麗なプレゼン資料ではなく、泥臭い「自己資金の蓄積過程」と「返済原資の蓋然性」だ。
高度化するスタートアップファイナンスの領域では、単なる借入金(デット)の獲得にとどまらず、資本性劣後ローンの活用や地方自治体の利子補給制度を組み合わせたハイブリッドな資金調達設計が勝敗を分ける。審査官の机に並ぶ膨大な事業計画書の中で、どの数字を強調し、どのリスクを事前に開示しておくべきか。百戦錬磨の士業が介在する真の価値は、書類の代書ではなく、融資面談という密室で繰り広げられるディフェンスラインの構築にある。