この第38回衆議院議員総選挙に至る政治の裏側には、単なる与野党の対立を超えた与党内の暗闘が存在した。当時、自由民主党内では「ポスト中曽根」を狙うニューリーダーたちが虎視眈々と機会をうかがっていた。中曽根総裁の任期満了が迫る中、党内基盤が必ずしも盤石ではなかった中曽根氏にとって、同日選での圧勝こそが政権延長のための絶対条件だったのだ。
一方、対抗する日本社会党をはじめとする野党勢力は、中曽根氏の張り巡らせた情報戦に完全に翻弄された。解散がないと高を括っていた野党は、地方組織の選挙準備が大幅に遅れ、擁立候補の選定すら完了していない選挙区が相次いだ。防衛線を破られた野党は雪崩を打って敗北へと突き進むことになり、結果として自民党は追加公認を含めて304議席という歴史的大勝利を収めたのである。