滅びの呪文「バルス」が唱えられた後、崩壊していくラピュタ城底部の瓦礫とともに、画面の隅で豆粒のように小さく描かれた人物が落下していく。ファンの間では長年「あれはムスカなのか?」という議論が交わされてきた。
最新の高解像度マスター画像および当時の絵コンテ資料を精査すると、そこにははっきりと「崩れ落ちる巨石や瓦礫に巻き込まれ、目が開かないまま真っ逆さまに海へと落ちていくムスカ」の姿が指定されている。視力を完全に失った彼は、足場を奪われ、巨城の崩壊と同調するように虚空へと消え去った。権力の頂点に立とうとした男が、最後は自らが執着したラピュタの瓦礫と同化して落命する——この無情な結末の対比こそ、宮崎監督が描いた因果応報の冷酷な美学である。