戦後日本の思想界に巨大な足跡を残した思想家・詩人の吉本隆明。彼を父親に持つ家庭の空気とは、一体どのようなものだったのか。ハルノ宵子氏が執筆した『隆明だより』は、晩年の父の介護や日常生活を率直かつユーモアを交えて綴ったエッセイとして大きな話題を呼んだ。
世間が「知の巨人」と仰いだ隆明氏の素顔は、家庭内ではチャーミングで時に身勝手な一人の父親であった。ハルノ氏はその姿を包み隠さず描写する。生活の中で交わされる会話や、病床でのやりとり。新潮社から刊行された著書や関連インタビューからは、偉大な思想家を一番近くで見守り続けた長女だからこそ語れる、生々しくも温かい独占秘話が溢れ出ている。