「あれほど人気を集めた名所が、なぜ存続できなかったのか」という疑問を抱く方は少なくありません。関係者の証言や当時の運営形態を紐解くと、あわじ花の歳時記園の閉園理由には、日本の地方部が直面する切実な社会課題が色濃く影を落としています。
同園は自治体や大手レジャー資本が手掛けた施設ではなく、個人のオーナーが里山の自然を切り開き、長年をかけて丹精込めて整備した「民営の手作り庭園」でした。アジサイは本来頑強な植物ですが、美しい花を毎年咲かせ続けるためには、毎年の花がら摘み、施肥、害虫駆除、そして斜面の土砂崩落を防ぐ擁壁や散策路の修繕など、膨大な重労働を要します。
園主をはじめとする管理スタッフの高齢化が進む中、山肌の傾斜地を維持し続ける労力は年々過酷さを増していきました。加えて、後継者不足や近年の気候変動による豪雨リスク、設備の老朽化対応など、個人経営の限界を超える複合的な負担が重なったことが、静かに幕を下ろす決定打となったとみられています。