きのこが持つ潜在能力を余すところなく引き出す鍵は、油の選定と調味料の配合比にある。一流の料理人が推奨する基本の黄金比率は「醤油 2:本みりん 2:米酢 1:植物油 1」だ。これに出汁の風味を補う少量の昆布を加えることで、角のないまろやかな酸味と重厚なコクが同居する特製ダレが完成する。
さらに重要なのが、きのこの下処理と加熱プロセスだ。水洗いは厳禁。表面の汚れは固く絞ったキッチンペーパーで優しく拭き取るにとどめる。水分を含ませないことが、風味の流出を防ぐ絶対条件となる。
フライパンで加熱する際は、きのこをむやみに動かさず、中強火で焼き色をつけるようにじっくりと火を通す。表面に香ばしい焦げ目がついた瞬間、細胞壁が適度に破壊され、グアニル酸をはじめとする旨味成分が爆発的に凝縮する。熱いうちに特製マリネ液へ投入すれば、温度が下がる過程できのこ内部へしっかりと味が染み込んでいく。