映画『マスク』のヒロイン決定に至るプロセスは、ハリウッドでも屈指のシンデレラストーリーとして知られています。しかしその裏側には、精神的に追い詰められるほどの過酷な選考がありました。
当初、制作陣はティナ役に当時絶大な人気を誇っていたプレイメイト出身のモデル、アンナ・ニコル・スミスを第一候補として検討していました。しかし、チャールズ・ラッセル監督は「単なるセクシーシンボルではなく、天真爛漫な純粋さとコメディセンスを兼ね備えた新しい才能」を求めて難航。そんな中、キャスティングディレクターがモデル事務所で偶然目にとめたのが、受付のカタログに載っていたキャメロン・ディアスでした。
当時のインタビューや回顧録によると、キャメロンは役を勝ち取るまでにおよそ12回ものオーディションとカメラテストを繰り返したと明かしています。演技経験がないプレッシャーから撮影直前には重度の胃痛に悩まされ、クランクインのわずか1週間前にようやく正式決定の連絡が届くという極限状態でした。ラッセル監督は後年、「彼女が部屋に入ってきた瞬間、部屋全体の空気が明るくなった。その輝きこそがティナに必要なものだった」と抜擢の決め手を振り返っています。