初めて訪れる人が一様に抱くのが、「これだけの規模で本当に入園料が無料なのか?」という疑問です。江戸川区自然動物園が無料開放を維持できている背景には、この土地が歩んできた歴史と自治体の明確な理念が存在します。
動物園が位置する行船公園は、もともと地元出身の実業家である田中徳次郎氏が「区民の憩いの場として役立ててほしい」と自らの敷地を江戸川区に寄贈したことから始まりました。園名にある「行船(ぎょうせん)」は、田中氏の屋号に由来しています。
江戸川区はこの寄贈の志を受け継ぎ、1983年に自然動物園を開園。「子どもたちが日常のなかで生き物に触れ合い、命の大切さを学ぶ情操教育の場」として位置づけ、区の公共福祉事業として運営費を予算化しています。商業的な利益を追うテーマパークではなく、地域住民に開かれた学びのインフラとして整備されているからこそ、誰でも気軽に立ち寄れる無料運営が今も続けられているのです。