毎年春と秋に展開される火災予防運動のポスターや、総務省消防庁の公式防火ポスターには、グラフィックデザインの高度なノウハウが凝縮されています。
プロの制作現場で徹底されているのが「Zの法則」と呼ばれる視線誘導です。人間の視線は左上から右上、左下から右下へとアルファベットの「Z」を描くように移動します。そのため、左上に最もインパクトのあるキャッチコピーを配置し、中央に引き込まれるビジュアルを配し、右下に結論となる行動(火の用心、点検の呼びかけ)を置くレイアウトが極めて有効に機能します。
また、消防庁のポスターは、火の恐怖を煽るだけでなく「安心・信頼」を感じさせるレスキュー隊員の眼差しや家族の笑顔を取り入れることで、鑑賞者に自分事として捉えさせる工夫が施されています。この視覚誘導と感情訴求を意識するだけで、単なる宿題ポスターの域を超えた本格的な広報作品へと昇華します。