ダイビングや水族館で「エイ」と総称される生き物の中で、マンタはどのような立ち位置にあるのでしょうか。マンタとエイの違いを一言で言えば、「生活圏のステージ」と「食事の摂り方」にあります。
海底の砂泥に身を潜めて貝や甲殻類をバリバリと噛み砕く一般的な底生エイに対し、マンタは外洋やサンゴ礁の海中を常に遊泳し続ける完全な遊泳性です。また、口の位置も大きく異なります。海底の獲物を食べるアカエイなどは口が腹側に付いていますが、マンタは泳ぎながら前方の海水を取り込むため、口が体の真正面(頭部前面)に開いています。
さらに、かつて単一の種と見なされていたマンタは、2009年の研究報告を機に主にオニイトマキエイ(Mobula birostris)とナンヨウマンタ(Mobula alfredi)の2種に分類されました。それぞれの身体的特徴と、危険視される一般的なエイとの差異を客観データで整理します。
日本国内のダイビングポイントや水族館の大水槽で見かける個体の約9割以上は、サンゴ礁域に根付く「ナンヨウマンタ」です。一方のオニイトマキエイはマンタの最大サイズと重さにおいて群を抜いており、幅8メートル・重量2トンを超える個体も記録されています。背中の模様(白い班紋の形状)や口周りの黒ずみの有無で見分けることが可能です。