日本国内における市販アイスの歴史において、本格的なワッフルシュガーコーンを家庭向けマルチパックとして普及させた功績は、クラシエのヨーロピアンシュガーコーンが先陣を切ったと言っても過言ではありません。それまで主流だったしんなりとしたモナカや柔らかいコーンとは一線を画す、心地よい噛みごたえは発売当初の冷凍菓界に大きな衝撃を与えました。
開発陣が直面した最大の技術的障壁は、水分を多く含むアイスクリームと接触しながら、いかにコーンの乾燥状態とクリスピーな食感を長期間維持するかという点でした。クラシエはこの課題に対し、コーン内面全体へ均一にチョコレートを吹き付ける独自の防湿コーティング技術を確立。これにより、流通から家庭の冷凍庫に至るまで、焼き立てのようなサクサク感を担保することに成功しました。
そして、多くの愛好家を惹きつけてやまないのが、コーンの最先端部に詰まった濃厚な「チョコだまり」です。実はこれ、最初からファンサービスとして意図された設計ではありませんでした。当時の製造技術において、円錐形コーンの先端にある微小な隙間から、充填時の液状アイスが漏れ出すトラブルを防止するため、いわば「液漏れ防止の栓(ストッパー)」として溶融チョコを流し込んだことが発祥でした。
ところが発売後、消費者から「最後に濃厚なチョコのご褒美が待っているのがたまらない」「あの先端部分こそが至高」という熱烈な反響が相次ぎました。現場の開発チームはこの声を真摯に受け止め、製造上の都合だった工程を「感動を決定づける重要なプロダクト価値」へと昇華させ、意図的にチョコをしっかり溜める黄金比率を完成させたのです。