「ネクタイの正しい長さはどこか」という疑問に対する決定打は、ベルトバックル位置のちょうど中央に大剣(ネクタイの太い方の先端)が重なる状態を作ることです。直立した自然な姿勢のときに、大剣の三角形の頂点がバックルの真ん中からわずかに下端にかかる程度のラインに収まっている状態が、国際的にも認められているスーツ着こなしの黄金比とされています。
なぜこの位置が最適とされるのか。その理由は、人間の視覚認知とスーツの構造設計にあります。ジャケットのフロントボタンを留めた際、Vゾーンから覗くネクタイの縦ラインとスラックスのウエストラインがバックル部分で綺麗に接続されることで、上半身と下半身の比率が最もバランスよく整って見えます。先端がバックルより上にあるとスラックスのウエストバンドやシャツの生地が覗いてしまい、腰位置が低く見えて胴長な印象を与えます。反対に、先端がバックルを完全に覆い隠して股下まで垂れ下がると、重心が極端に下がり、だらしなさや体型の崩れを強調してしまいます。
もうひとつ見落としてはならないのが、大剣と小剣のバランスです。正面から見たときに大剣の裏側に隠れる小剣(細い方の先端)が、大剣よりも長くなって下から飛び出してしまうのは明確なマナー違反と見なされます。小剣の先端は大剣よりも2〜3cmほど短い位置に収まり、大剣裏のループ(小剣通し)にしっかりと収まっている状態が、端正なスーツ着こなしビジネスマナーの基本です。