カフェインレスコーヒーに対する根強い不満として、「デカフェがまずいと言われる理由と評判」が挙げられます。昔からデカフェに対して「味が薄くて水っぽい」「特有の焦げ臭や穀物のような雑味が残る」「香りが立ち上らない」といった低評価を下すユーザーは少なくありませんでした。
大手カフェチェーンに勤務するベテランバリスタは、当時の製造事情についてこう証言します。
「かつてのデカフェは、生豆からカフェインを抜く工程で、コーヒー本来の芳醇なアロマオイルや甘味成分まで一緒に洗い流されてしまっていました。そのスカスカになった豆を補うために深煎りしすぎて、苦味と焦げ感だけが強調されていたのが実態です。お客様が『デカフェは味が抜けていてまずい』と感じられたのは、決して気のせいではありませんでした」
しかし、近年の技術革新によりその常識は劇的に覆されつつあります。現在の「超臨界二酸化炭素抽出法」では、コーヒーの風味を構成する揮発性芳香成分を豆の中に閉じ込めたまま、カフェイン分子だけを極めて精密に標的捕集できるようになりました。さらに、スペシャルティコーヒー専門店が自社の高品質なシングルオリジン生豆を持ち込み、スイスの水処理施設で丁寧にカフェインを抜く「スペシャルティデカフェ」の市場が確立されたことで、ブラインドテストではプロでも通常のコーヒーと判別がつかないほどのクオリティに到達しています。
SNSやレビューサイトを検証しても、「安価な大容量インスタントデカフェ」には依然として「薄い」「酸味が尖っている」という不満が残る一方、「国内焙煎の挽き立てドリップバッグ」や「専門店のリキッドアイスコーヒー」に関しては、「普通の豆より上品でフルーティー」「夕方以降の定番になった」と絶賛する声が主流を占めています。「まずい」という評判の正体は、過去の古い記憶や、安価な大量生産品に起因する品質のばらつきによるものが大半です。