羊肉料理の代名詞であるジンギスカンにおいて、ラムとマトンのどちらを選ぶべきかは、しばしば愛好家の間でも白熱した議論が交わされるテーマです。
北海道をはじめとする本場の食文化を観察すると、歴史的な変遷と明確な棲み分けが見て取れます。昭和期からジンギスカン文化を牽引してきた空知地方などでは、あらかじめタレに漬け込んだマトンを野菜と共に煮焼きにする「味付けジンギスカン」が伝統として根付いています。一方、札幌の繁華街や都市部を中心に爆発的な広がりを見せたのは、厚切りの生ラムをドーム型鍋でサッと焼き、後付けのタレで食すスタイルです。
食肉卸の担当者や老舗ジンギスカン専門店の店主からは、以下のようなリアルな意見が寄せられています。
「初めて羊肉を口にする若い世代や女性客には、臭みがなく牛ヒレ肉のように柔らかい生ラムが圧倒的に受けます。しかし、通い慣れた常連や地元のご年配は『マトンでなければ羊を喰った気がしない』とおっしゃる。マトンの濃密な脂が鍋の溝を伝って野菜に染み込むことで、ジンギスカン全体の完成度が跳ね上がるからです」(札幌・老舗ジンギスカン店主談)
SNSや口コミサイトの検証でも、ジンギスカンにおけるラムとマトンの違いについて、「ラムは軽快に何枚でも食べられる爽快感がある」「マトンはクラフトビールや重めの赤ワインと合わせたときに爆発的な旨味に化ける」といった、用途やシチュエーションに応じた住み分けが明確に確立されています。