感情の正体を解明するうえで、まず押さえておきたいのがモデル全体の幾何学的な美しさです。1980年に心理学者ロバート・プルチック(Robert Plutchik)博士が発表した「感情の輪」は、一般的な平面的チャートではなく、本来は逆円錐型の色彩立体モデルとして設計されました。花びらを広げたような平面のプルチックの感情の輪 図は、この立体を真上から見下ろした断面に相当します。
このモデルの画期的な特徴は、感情を「種類」だけで分類するのではなく、以下の3つの軸で構造化した点にあります。
第1の軸が「基本8感情」です。プルチックは人間の無数の感情の根底に、生物としての生存適応から生まれた8つの基本情動が存在すると定義しました。それは「喜び(Joy)」「信頼(Trust)」「恐怖(Fear)」「驚き(Surprise)」「悲しみ(Sadness)」「嫌悪(Disgust)」「怒り(Anger)」「期待(Anticipation)」の8つです。
第2の軸が感情の強弱 グラデーションです。花びらの中心に向かうほど感情の強度は高まり、外側へ向かうほど弱まります。例えば「怒り」という感情軸を見てみると、最も激しい中心部が「激怒(Rage)」、中程度が「怒り(Anger)」、外側の穏やかな状態が「苛立ち・不快(Annoyance)」へと薄まります。「悲しみ」であれば「悲嘆(Grief)」から「憂うつ(Pensiveness)」へと減衰していきます。感情の輪を立体として見ると、頂点(中心)に近づくほど感情は濃密になり、底部(外周)に広がるほど淡くなる円錐構造を成しているのです。
第3の軸が「類似性と対比性」です。隣り合う感情同士は心理的に親和性が高く、反対側に位置する感情は生物学的な行動として同時に成立しにくい「対極の関係」を持っています。この三次元的な構造を頭に入れておくことが、プルチックの感情の輪 わかりやすく解説された知見を自分のものにする第一歩です。