肉の日の広告を目にした消費者が最も陥りやすい落とし穴が、「店舗内の全商品が半額になる」という錯覚です。広告コピーに躍る「半額」という刺激的な文字の裏側には、外食ビジネス特有の原価コントロールが綿密に計算されています。
典型的な事例が、特定皿限定の半額セールです。例えばカルビ1皿(通常700円)が350円に値下げされていても、ドリンク類、サイドメニュー、ご飯もの、希少部位は通常通りの価格設定となっています。利用客が「せっかく安くなっているから」と調子に乗って注文単価の高い特選ヒレやアルコールを追加した結果、最終会計が普段の来店時より高くついたというケースは枚挙にいとまがありません。
さらに注意を払うべきは予約必須の高級焼肉店の動向です。叙々苑などの名門店や都内の一枚肉を売りにする高級店では、「いい肉の日だからといって安売りはしない」というブランド方針を堅持している店舗が少なくありません。むしろ高級店における肉の日イベントは、「割引」ではなく「普段は手に入らない超希少部位(シャトーブリアンや幻の黒タンなど)の特別入荷フェア」として展開されるのが通例です。「高級店が安く食べられるはず」と誤解して予約サイトを開いても、通常以上の客単価設定に直面することになります。
また、食べ放題チェーンにおける「席時間短縮」も見過ごせない盲点です。通常100分のコースが肉の日特割適用時に「70分・ラストオーダー50分」へと制限される事例があり、結果として注文が詰まり、満足に肉を焼き切れないまま退店を余儀なくされるリスクも存在します。価格の安さだけに目を奪われず、「何が割引対象で、どのような制約が課されているか」を冷静に見定めるリテラシーが求められます。