店頭でパック越し、あるいは並べられた桃を観察する際、最も信頼性の高い判断基準となるのが「お尻の形と深さ」です。桃の果頂部(枝についていた軸の反対側、いわゆるお尻の部分)には、その個体が樹上でどのように養分を吸収してきたかの履歴が克明に刻まれています。
甘い桃を見極めるポイントは、お尻のくぼみが浅く、ふっくらと丸みを帯びて横に張っている形状です。未熟な桃や養分が行き届かなかった桃は、果頂部が尖っていたり、逆にお尻のくぼみが極端に狭く締まっていたりします。枝からの養分を果実全体に均一に行き渡らせる過程で、最後に細胞肥大が完了するのがこの果頂部周辺です。この部分が窮屈にならず、滑らかな曲線を描いて広がっている個体は、木の上でしっかりと完熟直前まで栄養を吸い上げた証左といえます。
また、枝についていたヘタ(軸)側のくぼみにも着目してください。ヘタ周辺のくぼみが深く、かつ緑色が完全に抜けて黄色みを帯びているものは、樹上での滞在時間が長く、果糖が隅々まで満ちているサインです。農家の選果基準でも、軸周辺の窪みが深く左右均等に張っているものは高階級(特秀・秀)として出荷される確率が高く、スーパーの売り場でもこの構造的な特徴を把握しておけば、外れを引く確率を劇的に下げることができます。