物語の舞台となるのは、下町の路地にたたずむ老舗銭湯。暖簾をくぐると広がる高い天井、富士山のペンキ絵、そして男湯と女湯を中央で見渡す高い番台が物語の中心軸となります。花の番台のあらすじは、番台に座る主人公が、湯船に浸かりにやってくる常連客や訳ありの客たちの小さなドラマにそっと寄り添う日常から始まります。
夕暮れ時になると、下町の職人、近所のお年寄り、夢を追う若者など、多彩な顔ぶれが番台の前を通り過ぎていきます。あるときは生き別れた親子の再会劇、あるときは淡い恋の行方、またあるときは時代の波に取り残されそうになる職人の意地など、1話完結のオムニバス形式を軸にしながら、町全体の緩やかな変化が描かれます。
湯気の向こうに広がる湯船の会話や、脱衣所で交わされる飾らない本音。銭湯という「裸の付き合い」の場だからこそ暴かれる人間の素顔と優しさが、昭和レトロな銭湯の情緒あふれる風景とともに瑞々しく描かれています。