日本国内で本作を長年にわたり上演し続けている劇団四季。そのステージで繰り広げられるシャンデリア落下演出の裏側には、緻密極まる舞台装置の技術と安全対策が隠されている。総重量数百キログラムに及ぶ巨大なシャンデリアが、最高秒速数メートルという猛烈なスピードで客席頭上から斜め前方へと急降下する動きは、計算し尽くされた滑車の配置と特殊なワイヤー制御によって実現されている。
単に落下させるだけではない。怪人の怒りが頂点に達した瞬間、クリスタルの球体が激しく明滅し、火花を散らしながら完璧な放物線を描く。劇団四季の技術スタッフは、劇場の構造や空調による空気抵抗まで考慮し、ミリ単位で落下の着地点とタイミングを調整しているという。観客を恐怖と興奮の渦に巻き込む圧巻の演出秘話は、まさに職人技の結晶なのだ。