「たかがメッセージを1回送っただけ」と軽く考えるのは極めて危険です。過去のチェーンメール被害事例を精査すると、発信者や中継者が意図せぬ形で甚大な社会的損失を招いたケースが多数記録されています。
代表的な実害の1つが、公的機関や医療機関への業務妨害です。過去に「特定の血液型が不足している」という虚偽のチェーンメールが出回った際、名指しされた赤十字血液センターや総合病院の電話回線が真偽を問い合わせる一般市民からの電話で完全にパンクし、救急医療の受け入れに支障をきたす事態が発生しました。善意による拡散であっても、結果として人命救助を阻害する重大な妨害行為へと発展します。
さらに見過ごせないのが送信者自身が負う法的責任です。チェーンメールの内容によっては、以下のような法令違反に該当する可能性があります。
① 偽計業務妨害罪(刑法第233条)
虚偽の情報を拡散して企業や病院、学校などの通常業務を妨害した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。「嘘だと知らなかった」という弁明は、無責任な拡散行為に対して通用しないケースが増加しています。
② 名誉毀損罪・信用毀損罪(刑法第230条・第233条)
「〇〇という店で犯罪が行われている」「〇〇社の製品に毒物が混入している」といった実名を挙げたデマを転送した場合、被害を受けた企業や個人から民事上の損害賠償請求(不法行為責任)を起こされるリスクがあります。
③ 特定電子メール法違反
営利目的の広告や宣伝を含むチェーンメールを無差別・大量に送信した場合、行政処分の対象となるほか、送信ドメインの利用停止措置を受けることになります。
法的な処罰に至らない場合でも、「デマを平気で回してくる信用できない人物」というレッテルを貼られ、職場や友人関係での社会的信用を失う人間関係の崩壊こそが、転送者自身に降りかかる最大のデメリットです。