笑顔に対する恐怖や自己不信は、近年のポップカルチャーやデジタルメディアのあり方とも無縁ではない。恐怖映画『スマイル』が全世界で大きな反響を呼んだ背景には、本来は安心や好意を示すはずの笑顔が、一転して狂気や不気味さの象徴に変貌するという現代的な恐怖心理が巧みに突かれている点がある。
また、NetflixのドキュメンタリーやYouTube上の高画質コンテンツにおいて、出演者の表情が微細なディテールまで拡大・分析される機会が増えた。スマートフォンのインカメラやミラーレス一眼がもたらした「超高精細な自視覚化」の時代にあって、私たちは自分の表情のわずかな歪みやアンバランスさに対して、かつてないほど過敏になっているといえる。