物語の根幹を揺るがす最大の謎が、主人公・染谷航太(佐野勇斗)の本当の死因と、7年間隠蔽され続けた事件の全貌です。地元では長年「夜の山林に一人で入り、誤って川へ滑落した事故」として処理されていましたが、物語が進むにつれて衝撃の真実が明らかになります。
2010年の春、高校3年生だった航太は、芽衣(飯豊まりえ)に想いを告げるため、手作りの桜のヘアピンを用意して神社で待ち合わせをしていました。しかし約束の時間直前、航太は親友・石川伊織(結木滉星)の父親であり、地元有力病院の院長を務める医師・伊織の父と、病院関係者の激しい口論を目撃します。その口論の原因は、病院内で発生した重大な医療過誤の隠蔽工作でした。
不正の証拠となるカルテを持ち去ろうとした関係者を追う院長と遭遇した航太は、その争いに巻き込まれてしまいます。航太は院長に詰め寄る中で足場を崩し、崖下へと転落。その場にいた院長は、自らの社会的地位と病院の体面を守るため、虫の息だった航太を救護することなく放置し、現場から逃亡を図りました。つまり、航太の命を直接的に奪った決定打は、救命措置の不作為と隠蔽による見殺しだったのです。
さらに切ないのは、親友の伊織がその場に駆けつけた際、父の車のブレーキ痕や落ちていた遺留品から「父が航太を死に追いやった」と察知してしまった点にあります。伊織は友を失った悲しみと、父の罪を暴けない罪悪感の板挟みとなり、医学部へ進学しながらも心を閉ざし、7年間にわたり暗い孤独を抱え続けることになりました。