観光客が主要な大通りで長い列を作る傍らで、市場関係者や長年通い詰める食通たちが静かに暖簾をくぐるのが、路地裏やビルの奥深くに位置する築地朝ごはん穴場の数々です。派手な看板を掲げずとも、素材の持ち味を最大限に引き出した築地朝食和食定食を提供する店舗には、確かなリピーターが根付いています。
筆者が現地での定点観測および常連客への聞き取り調査を行ったところ、特に評価が高かったのが「日替わりの焼き魚・煮魚定食」を軸とする老舗店です。銀ダラの西京焼きや、脂の乗った天然紅鮭、朝煮崩れしないよう丁寧に仕込まれた金目鯛の煮付けなど、熟練の板前が火入れした魚料理は、炊きたての白米と出汁の利いた味噌汁と見事な調和を見せます。
「観光客向けの高額な丼物も華やかで良いが、毎朝でも食べたくなるのは職人が丁寧に引いた出汁と、絶妙な塩加減の焼き魚。これこそが築地の原点」と、週に3日以上場外市場へ足を運ぶ地元関係者は語ります。
さらに、早朝から香り高いネルドリップコーヒーや自家製トースト、具だくさんのスープを提供する純喫茶も、知る人ぞ知る朝食の選択肢です。市場の喧騒から一歩離れ、クラシックな内装の中で静かに朝の時間を過ごすスタイルは、都会の隠れ家的な情緒を味わう上で極めて高い満足度をもたらしてくれます。