ロース肉はバラ肉のようにコラーゲン(結合組織)が多くありません。赤身の筋肉繊維が主体の部位であるため、長時間煮込み続けるとコラーゲンがゼラチン化する前にタンパク質(ミオシン・アクチン)が熱変性を起こし、スポンジを絞ったように水分が抜けてしまいます。
ジューシーさを維持しながら豚ロースブロックを柔らかくする方法として、調理科学の観点から有効なアプローチは以下の3点です。
- ブライニング(塩水漬け):水に対して塩5%・砂糖5%を溶かした水溶液に塊肉を一晩漬け込むことで、筋繊維の隙間に水分を引き込み、加熱による収縮を物理的に緩和します。
- プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)の活用:すりおろした玉ねぎやすりおろしリンゴ、塩麹に30分〜1時間漬け込むことで、表面から酵素が浸透し筋繊維をほぐします。
- 筋膜の切断とフォーク刺し:ブロック肉の脂身と赤身の間にある筋膜を等間隔で断ち切り、フォークで全体を深く突くことで、下味の浸透を促すとともに加熱時の肉の反り返りを防止します。