そもそも「ディズニープリンセス」という統合フランチャイズが誕生したのは2000年代初頭のことでした。当時ディズニー・コンシューマー・プロダクツのトップに着任したアンディ・ムーニー氏が、「ディズニー・オン・アイス」の会場で手作りのプリンセスコスチュームを着た幼い少女たちを目撃したことが契機となりました。それまで個別展開されていたキャラクターを一つのブランドに束ねるという、当時としては画期的な試みからスタートしたのです。
発足当初は「各キャラクターが持つ独自の世界観を壊さないため、プリンセス同士はお互いに視線を交わしてはならない」という暗黙のルールが広告や商品パッケージで徹底されていました。この厳格な制約が映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』(2018年)のプリンセス大集合シーンでセルフパロディとして打ち破られた瞬間は、世界中のファンを熱狂させました。
また、彼女たちの「名前」に目を向けると、歴史的背景や原典に根ざした興味深い由来が浮かび上がってきます。
シンデレラの本名と蔑称の真相:
実は「シンデレラ(Cinderella)」は彼女の本来の名前ではありません。原典や実写映画の設定に基づけば、彼女の本名は「エラ(Ella)」です。暖炉の灰(cinder)にまみれて働かされていたことから、意地悪な継母と義姉たちが「灰まみれのエラ=シンデレラ」と嘲笑を込めて呼んだあだ名が、そのまま広く知られる名前となってしまいました。
オーロラ姫が持つ2つの名前:
『眠れる森の美女』の主人公は、誕生時に「夜明けの光」を意味するオーロラ(Aurora)と名付けられました。しかし魔女マレフィセントの呪いから逃れるため、3人の妖精によって森の奥深くで育てられていた期間は「野バラ」を意味するブライア・ローズ(Briar Rose)という偽名を与えられて暮らしていました。
ベル、アリエル、ラプンツェルの語源:
『美女と野獣』のベル(Belle)はフランス語で直球の「美しい人」を指します。『リトル・マーメイド』のアリエル(Ariel)はヘブライ語で「神のライオン」を意味する聖なる響きを持ち、『塔の上のラプンツェル』のラプンツェル(Rapunzel)は、グリム童話の原典において母親が魔女の庭から盗み食いしたヨーロッパの伝統的な野草(キキョウ科の植物、ノヂシャなど)の名前に由来しています。