フランス語で「終わり」や「結末」を意味する単語を冠した『Fin』。松本一起が紡いだ歌詞は、まるで古いモノクロ映画のラストシークエンスを切り取ったような、叙情的なストーリーテリングが特徴です。
冷めかけた都会の夜、互いの距離を悟りながら静かに愛に終止符を打つ男女の心理が、抑制の効いた言葉で描写されています。感情を爆発させて泣き叫ぶのではなく、静寂を受け入れながら立ち去る大人の別離。中森明菜は、息を多く含ませた繊細なウィスパーボイスと、サビで見せる伸びやかで芯のある中低音を巧みに使い分け、主人公の胸の痛みをリアルに歌い上げました。
言葉の端々に漂う諦念とプライド。聴き手の想像力を刺激する余白を持ったリリックは、40年近くが経過した現在も色褪せることなく、聴く者の心に深い余韻を残します。