インターネット上やSNSでは、「縄文海進で水没していたエリア=絶対に住んではいけない危険地帯」という極端な言説が散見されます。しかし、地盤工学や都市防災の専門家の視点から見ると、これは一面的な誤解に基づいています。
誤解1:海だった低地はすべて軟弱で危険なのか?
かつて海だった低地であっても、現代の建築技術においては適切な地盤改良(柱状改良や鋼管杭工法など)を施し、支持層まで基礎を到達させれば、建物の倒壊リスクは大幅に低減できます。また、東京都江東区や江戸川区などの低地帯では、長年にわたる高規格堤防(スーパー堤防)の整備や地下調節池の建設が進んでおり、ハード面での水害対策は世界トップクラスの堅牢さを誇ります。
誤解2:台地の上であれば100%安全なのか?
「武蔵野台地や上町台地の上だから安心」と盲信することも危険です。台地の上であっても、かつて川が台地を削ってできた「谷戸(やと)」と呼ばれる浅い谷が無数に存在します。そうした谷を高度経済成長期に盛り土で平坦にした造成地では、豪雨時の内水氾濫や地震時の滑動崩落(盛土の崩落)リスクが潜んでいます。縄文海進マップで「陸地」と表示されていても、ミクロな地形分類(谷底低地・盛土)を見落としてはなりません。