一時的な睡眠不足や過度なダイエットによるホルモンバランスの乱れであれば、生活リズムの是正によって自然回復することも少なくありません。しかし、高温期が来ない状態が数ヶ月にわたって慢性化している場合、器質的な生殖内分泌疾患が隠れている可能性を強く警戒する必要があります。
その代表格が、生殖年齢女性の約5〜10%にみられる多嚢胞性卵巣症候群PCOSです。卵巣の表皮が硬くなり、卵胞が適切な大きさ(約20mm)まで成熟できず、未熟な小卵胞が卵巣内にネックレス状に多数滞留してしまう疾患です。PCOSを発症していると、排卵が極めて起こりにくくなり、基礎体温は低温期のまま推移するか、乱高下を繰り返すケースが目立ちます。
また、排卵自体は辛うじて起きているものの黄体の形成が不十分な黄体機能不全も見落とせません。この場合、高温期への移行に4〜5日以上かかったり、高温期の途中で急激に体温が下がったりします。無排卵や黄体機能の不全を長期間放置すると、子宮内膜が長期間にわたってエストロゲンの単独刺激に晒され続けることになり、将来的な子宮内膜増殖症や子宮体がんのリスク因子となることも医学的に指摘されています。