ペット保険大手のアニコム損害保険が毎年公表する『家庭どうぶつ白書』および英国王立獣医大学(RVC)の大規模疫学コホート研究によると、フレンチブルドッグの平均寿命は10.2歳〜11.5歳の間を推移しています。犬全体の平均寿命が約14.2歳〜14.7歳(小型犬では15歳を超えるケースも珍しくありません)に達している事実と比較すると、2〜4年ほど短い計算になります。
なぜここまで歴然とした差が生じるのか。その最大の理由は、人間による極端な選択交配がもたらした「短頭種特有の形態学的リスク」にあります。フレンチブルドッグの愛くるしい平たい顔、幅広の頭蓋骨、がっしりした筋肉質の肉体は、生まれながらにして呼吸器系・循環器系に多大な物理的負荷を強いる構造的脆弱性を抱えているのです。
フレンチブルドッグの成長スピードを人間の時間軸に換算すると、シニア期への突入は飼い主が想像するよりもはるかに早く訪れます。小型〜中型犬の基準に照らすと、以下の換算が臨床現場の標準的な指標となります。
1歳でおよそ人間の17歳、2歳で24歳前後に到達し、以降は1年ごとに約4〜5歳ずつ年を重ねていきます。つまり、フレンチブルドッグにとって6〜7歳は人間でいう40代後半から50歳前後に相当し、すでにれっきとした「シニア期」の入り口です。外見の若々しさや活発な仕草に惑わされ、健康診断や環境整備を先送りにしてしまうことが、短命化を招く大きな盲点となっています。