結論から言えば、髪をアップにしないこと自体が即座にマナー違反となるわけではない。着物における髪型の本質は「襟元を清潔に保ち、格式にふさわしい整え方をしているか」という点にある。長年の業界慣行としてアップスタイルが推奨されてきたのは、着物の襟に髪がかかることで清潔感を損なったり、帯周りのシルエットを崩したりするのを防ぐためだ。
一般社団法人全日本婚礼美容家協会の関係者も、時代の変化に伴うフォーマル度合いの考え方に言及する。ショートヘアや髪を上げきらないスタイルであっても、髪の面(ツヤ)をしっかりと整え、耳元や襟足のラインを美しく見せるスタイリングが施されていれば、最高格式の黒留袖にふさわしい品格は十分に維持できるという。