時計の針を2015年12月26日に戻します。警視庁が世田谷区内の高校に侵入し女子生徒の部活動のユニフォームやブレザーなどを盗んだとして、建造物侵入および窃盗の疑いで高橋健一を逮捕したという一報は、列島を駆け巡りました。押収された品々は約50校、600点以上にのぼり、ポリ袋に詰められた大量の制服が警察署内に並べられた光景は、ファンのみならず一般視聴者にも計り知れない嫌悪感と落胆を与えました。
東京地方裁判所で開かれた公判廷において、検察側から明らかにされた犯行実態は極めて異常なものでした。高橋本人が証言台で語った手記・供述によると、盗み始めたのは芸人としてデビューする前の20代前半、実に約20年間に及ぶ常習的犯行だったのです。
「日頃の強いプレッシャーや不安から逃れるため、性的興奮とスリルを求めて制服に執着してしまった」
初公判でうつむきながらこう吐露した高橋の背後には、複雑な家庭環境の影もありました。幼少期に母親を自死で亡くし、父親が背負った数千万円規模の莫大な借金を肩代わりして長年返済し続けていたという過酷な現実です。芸人として成功を収め、コント日本一の栄冠を手にした後も、その内面には埋めることのできない精神的重圧と孤独が渦巻いていました。専門機関の精神鑑定や情状酌量により、衝動制御障害(フェティシズム・窃盗癖)の治療を継続することが示され、判決は求刑懲役3年に対し、懲役2年6月・執行猶予4年(保護観察付き)という司法判断が下されました。