「万物の相」は一般に「ばんぶつのそう」と読みます。文脈によっては「万物相(ばんぶつそう)」と熟語的に読まれるケースもありますが、基本的には「万物(宇宙に存在するありとあらゆるもの)」と「相(すがた、ありさま、様相、形相)」を組み合わせた言葉です。
語源を辿ると、古代中国の『易経』や老荘思想、さらには古代インドを発祥とする仏教経典に行き着きます。東洋の伝統的な自然観では、自然界の動植物から天体の運行、人間の感情に至るまで、すべての存在は固定されたものではなく、常に変化し続ける「相(現れ)」であると考えられてきました。
「相」という漢字には、木を目で見る形から「観察する」「ありのままの姿を見る」という意味が含まれています。つまり、単に物質の形を指すだけでなく、「移ろいゆく現象の全体像を深く観察する」という能動的な視点を含んだ言葉なのです。