作詞を担当したのは、数々の名曲を世に送り出した作詞家・山川啓介です。資生堂側から提示された「時間よ止まれ」というキャンペーンタイトルを軸に、山川は真夏の避暑地やリゾート地で交錯する大人の刹那的な情愛を描き切りました。
歌詞の意味を深く読み解くと、単なる男女の恋愛賛歌ではなく、「永遠の一瞬」にすがる人間の儚さと情熱が浮き彫りになります。〈罪なやつさ Ah 太陽の瞳をしてる〉という鮮烈なフレーズから始まり、幻のような美しい女性に心奪われ、自らの理性を失っていく男の心理描写が、矢沢のウェットかつ伸びやかなボーカルと見事に呼応しています。男臭いロックのイメージが強かった矢沢永吉の中に眠る「甘美なメロディメイカー」としての才能を、山川の詩世界が最大限に引き出したと言えます。
音楽理論の観点からも、本作は極めて革新的です。ギターのコード進行には、一般的な3コード進行のロックとは一線を画すテンションコードやメジャーセブンス(M7)が多用されています。AOR(Adult Oriented Rock)やボサノヴァ、ソウルミュージックのエッセンスを取り入れたメロウなコード進行が、矢沢の切ないメロディラインを支え、日本の歌謡曲ともハードロックとも異なる「ジャパニーズ・シティ・ロック」のプロトタイプを作り上げました。