初めてスタジオを訪れる際、多くの人が不安を抱くのがタトゥーのカウンセリングとデザイン持ち込みの作法です。近年はSNSや画像共有サイト(Pinterest等)からスクリーンショットを持参する利用者が主流となっています。
ただし、現場の彫師が共通して指摘するのは「他人のタトゥー作品をそのまま複製することは著作権的にもクリエイターの倫理的にも不可能」という点です。持ち込んだ参考画像をベースにしつつ、「このイラストの線の細さを生かしたい」「このフォントの雰囲気を漢字に置き換えたい」といったニュアンスを言語化し、彫師と対話を重ねながらオリジナルデザインを昇華させていくプロセスが一般的です。
デザインが完成し、実際の施術を終えた後に最も重要なのが、タトゥーのアフターケアと定着までの経緯です。施術当日から皮膚が完全に元のバリア機能を取り戻すまでの一般的なタイムラインは以下の通りです。
- 施術当日〜3日目:インクと組織液(滲出液)が滲み出る急性炎症期。スタジオで貼付された医療用保護テープ(セカンドスキン等)を規定時間密着させ、雑菌の侵入を防ぎます。
- 4日目〜1週間:患部に薄いカサブタが形成され、強烈な痒みが発生する時期。無理に掻きむしるとインクがカサブタと一緒に剥離し色抜けの原因となるため、ワセリンや専用アフターケアクリームで入念な保湿を継続します。
- 2週間〜1ヶ月:薄皮がポロポロと剥がれ落ち、新しい表皮が定着。肌が落ち着き、インクが真皮層に完全に固定された状態(Healed)となります。
日焼け(紫外線)や過度の飲酒、施術後2週間のプール・サウナ・温泉の利用は、色飛びや化膿リスクを跳ね上げるため絶対の禁則事項とされています。美しい仕上がりを保てるかどうかは、彫師の技術が半分、施術者本人の自己管理が半分と言っても過言ではありません。