春の雪解けとともに目覚めるクロッカスから、初夏のカンパニュラ、秋の深まりを告げるアスターまで。ここでは年間を通じて450種類以上もの花々がバトンを繋ぐ。小径を歩けば、背丈ほどの高さに育ったデルフィニウムが青いグラデーションを描き、足元では小さなグラウンドカバーが密やかに花を咲かせている。
「花の名前を知ることは、その命のありかを知ることだ」――かつて劇中で語られたセリフがリフレインする。植物の名札を追いかけるのも良いが、ここではただ静かに風の音に耳を澄ませる時間こそが贅沢だ。風が草木を揺らすたびに、甘い蜜の香りやハーブの芳香が空気中に立ち上り、訪れる者の五感を心地よく揺さぶる。