もっとも、解像度向上の熱狂には落とし穴もある。4Kアップスケーリングの技術が先鋭化するにつれ、AIが「そこに存在しなかった情報」を過剰に捏造してしまうハルシネーション(幻覚)の問題が顕在化してきたからだ。
歴史的なドキュメンタリーにおいて、人物のシワや衣服の繊維パターンをAIが勝手に描き足すことは、果たしてアーカイブの真正性を損なわないのか。陶器のようにツルリとした不自然な肌の質感や、不気味の谷を感じさせる不自然な瞳の動きに、映画ファンから拒絶反応が起きるケースも少なくない。技術が完璧に近づくほど、「記録としての真実」と「鑑賞に耐えうる快楽」の境界線をどこに引くのかという、作り手の美意識が厳しく問われている。