奥行きのある直線が果てしなく続く廊下は、透視図法を学ぶうえで最高の題材であり、同時に難所でもある。基本となるのは1点透視図法と2点透視図法の使い分けだ。アイレベル(目線の高さ)を画面中央よりわずかに下に設定することで、天井の広がりと床面の奥行きが強調され、視聴者がまるでその場に立っているかのような没入感が生まれる。
ここで陥りがちな罠が、直線が完璧すぎて画面が冷たく見えてしまう現象だ。プロは敢えてわずかな「ゆがみ」や「パースの逃げ」を仕込む。廊下の奥に向かって消失点を設定しつつ、窓枠の手すりや貼り出されたポスターの端に微小なズレを設けることで、手描きの温もりと空気の揺らぎを同時に再現するテクニックが用いられている。