子どもを持ったこと、あるいは二人以上産んだことを悔やむ感情は、長らく社会的タブーとされてきた。しかし、イスラエルの社会学者オルナ・ドーナトの著書『母親になって後悔してる』が世界的な波紋を広げて以来、親の本音に対する向き合い方は変わりつつある。
家族社会学の観点からも、親が育児に対して抱く「後悔」や「逃げ出したい感情」は、子どもへの愛の欠如を意味するものではないと指摘されている。「愛しているけれど、育児という役割や状況が辛い」という感情は明確に区別されるべきなのだ。「完璧な親」であることを求める社会的なプレッシャーが、かえって親を孤立させ、感情の置き場を奪ってしまう。