リアルな木を描く際にありがちな最大の失敗は、1枚1枚の葉を最初から細かく描き込もうとすることだ。プロの現場では、まず木全体を「ひとつの立体的な幾何学体」として捉えることからスタートする。球体や楕円がいくつも重なった大きなシルエットとして捉え、光が当たる「ハイライト」、陰になる「ベースカラー」、最も暗い「落ち影」の3段階で明暗のボリューメトリックな領域を大まかに分けていく。
立体感が構築できた段階で、初めて「葉の質感」を乗せていく。ここで重要になるのがシルエットの端(輪郭)の崩し方だ。内側の塗りはある程度大雑把でも、外側に突き出る葉や枝の隙間(ネガティブスペース)を丁寧に描き出すことで、見ている人の脳が勝手に「豊かな葉が生い茂っている」と補完してくれる。2026年現在の作画トレンドでは、均一なブラシ塗りを避け、葉の集合体に落ちる複雑な影を段階的にレイヤー分けする手法が主流となっている。