自転車に乗る際、多くの人が「撥水スプレーをかけたから大丈夫」「撥水加工のカバーをつけているから濡れないはず」と誤解しています。しかし、ここに雨の日の快適性を大きく左右する重大な落とし穴が存在します。
サドルカバーを選ぶ上で真っ先に把握すべきは、サドルカバーにおける防水と撥水の違いです。「撥水」とは生地の表面で水を玉状にはじく加工を指し、生地自体の隙間は塞がれていません。そのため、小雨程度であれば水を弾きますが、人がサドルに座って体重(約50〜80kgの圧力)がかかると、水滴が繊維の隙間から一気に内部へ押し込まれてしまいます。一方、「防水」は生地の裏面にポリウレタン(PU)やPVC(塩化ビニル)などの不浸透フィルムをラミネート加工し、生地の隙間そのものを完全に遮断した構造を指します。
また、防水サドルカバーで水が染み込まない理由の核心は、生地の耐水圧だけでなく「縫製処理」にあります。安価なカバーはミシン針を通した縫い目から毛細管現象で雨水が侵入し、内部のウレタンに水が溜まります。本当に水が染み込まない製品は、高周波ウェルダー(熱溶着)による無縫製構造を採用しているか、縫い目の裏側に防水シームテープを圧着処理している点が決定的な違いです。