インターネット上の掲示板や一部のインフルエンサーの間で、「職務質問は一切口を開かず無視して立ち去ればよい」「走って逃げれば警察は追えない」といった過激な対処法が拡散されることがあります。しかし、これらは極めてリスクの高い悪手です。
なぜ「完全無視」や「逃走」が自らの首を絞めることになるのでしょうか。その理由は、裁判実務における「相当な理由の事後的補強」にあります。
警察官が最初に声をかけた段階では「単なる声かけ」レベルの疑いであっても、対象者が警察官を一瞥して突然全速力でダッシュしたり、質問を完全に無視して異常な早足で逃亡を図ったりした場合、その挙動自体が「犯罪を犯して逃走しようとしている異常な挙動」と評価されます。その結果、警察官による追跡や進行阻止(腕を掴む、前に立ちふさがるなど)が裁判所によって「適法な実力行使」と追認される可能性が跳ね上がるのです。
さらに、逃げようとして警察官の腕を振り払ったり、体がぶつかったりした瞬間に、公務執行妨害罪(刑法第95条)の現行犯としてその場で逮捕される事態に直結します。