新喜劇の舞台といえば、ド派手なズッコケや脈絡のないボケ、ドタバタのキャラクター劇が名物だ。だが、それらの暴走が巨大な笑いとして結実するのは、中央で全体を受け止める「受容者」の存在があってこそだ。
彼の真骨頂はまさにそこにある。相手の熱量が上がれば上がるほど、彼はあえて温度を抑える。「いーえーす」「ちーっとも騒がしくない」といった何気ない言葉。その行間には、ミリ単位で捉えた間合いと、観客の耳を澄ませる無音の魔術が仕込まれている。テンポの速さばかりが求められる現代のエンターテインメントにおいて、この「静寂を恐れない度胸」こそが彼の真骨頂だ。